弘前医学
Online ISSN : 2434-4656
Print ISSN : 0439-1721
原著
低酸素による心筋細胞 Insulin-like growth factor-1 遺伝子発現亢進の役割:心保護作用の機序について
加藤 千里長内 智宏 渋谷 修司花田 賢二奥村 謙
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 60 巻 1-4 号 p. 36-44

詳細
抄録

 Insulin-like growth factor (IGF)-1 は心臓に有益な効果を及ぼす.低酸素刺激により増加する IGF-1 の起源と機能は不明である.生後1~2日齢マウスの心臓から心筋細胞と線維芽細胞を単離培養した.心筋細胞では,IGF-1 mRNA発現は低酸素条件下で3時間後に約 3.5 倍亢進し,それに伴い IGF-binding protein 3,vascular endothelial growth factor-A の発現も亢進した.線維芽細胞の IGF-1 mRNA は低酸素で変化しなかった.心筋細胞では,心筋再生に関連する stromal cell-derived factor-1 mRNA は低酸素条件で3時間後に亢進し,IGF-1 mRNA と相関する傾向が認められた.以上より,低酸素条件下において,心筋細胞では IGF-1 発現が亢進し,心筋保護的に作用する可能性が示唆された.

著者関連情報
© 2009 弘前医学編集委員会
前の記事 次の記事
feedback
Top