今回我々は低酸素暴露による膵ランゲルハンス島 (以下膵島) 機能障害の経時変化とその機序を検討した.膵島は SDラットから単離し酸素濃度1% (低酸素) で培養後,インスリン分泌実験 (静置法,灌流法) を施行.ミトコンドリア活性と膵島細胞死も測定した.更に低酸素後24時間 (以下h) 再酸素化し,インスリン分泌実験 (灌流法) で評価した.静置法では,24h 以降で Ins分泌が有意に低下した.灌流法では第1相分泌の AUC が 6h 以降で,第2相は 12h 以降で有意に低下した.ミトコンドリア活性は48時間以降で低下が有意となった.アポトーシスに差は無かったが,ネクローシスが 24h 以降で有意に増加した.再酸素化はインスリン分泌を有意に悪化させた.以上から低酸素暴露はまず機能障害を起こし,その後にアポトーシスよりはむしろネクローシスに影響された細胞死を引き起こすと考えられた.また再酸素化は膵島の機能障害を促進させた.