弘前医学
Online ISSN : 2434-4656
Print ISSN : 0439-1721
原著
膵ランゲルハンス島に引き起こされる低酸素性機能障害の経時的変化とメカニズム
友常 健小川 吉司長谷川 範幸工藤 貴徳奈良岡 真紀近澤 真司玉澤 直樹須田 俊宏
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 60 巻 1-4 号 p. 54-62

詳細
抄録

 今回我々は低酸素暴露による膵ランゲルハンス島 (以下膵島) 機能障害の経時変化とその機序を検討した.膵島は SDラットから単離し酸素濃度1% (低酸素) で培養後,インスリン分泌実験 (静置法,灌流法) を施行.ミトコンドリア活性と膵島細胞死も測定した.更に低酸素後24時間 (以下h) 再酸素化し,インスリン分泌実験 (灌流法) で評価した.静置法では,24h 以降で Ins分泌が有意に低下した.灌流法では第1相分泌の AUC が 6h 以降で,第2相は 12h 以降で有意に低下した.ミトコンドリア活性は48時間以降で低下が有意となった.アポトーシスに差は無かったが,ネクローシスが 24h 以降で有意に増加した.再酸素化はインスリン分泌を有意に悪化させた.以上から低酸素暴露はまず機能障害を起こし,その後にアポトーシスよりはむしろネクローシスに影響された細胞死を引き起こすと考えられた.また再酸素化は膵島の機能障害を促進させた.

著者関連情報
© 2009 弘前医学編集委員会
前の記事 次の記事
feedback
Top