弘前医学
Online ISSN : 2434-4656
Print ISSN : 0439-1721
原著
MDMA の類縁体である methylone の行動毒性および依存性に対する影響について
宮澤 眞紀小島 尚中路 重之
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2011 年 62 巻 1 号 p. 56-71

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抄録

 合成麻薬 MDMA の designer drug として乱用され,麻薬指定された methylone の行動毒性や依存性について検討した報告はない.そこで,methylone の危害性を明らかにするためにマウスによる行動毒性及び場所嗜好性 (CPP) 試験を行った.さらに,依存性薬物投与時に前脳側坐核に蓄積する ΔFosB を免疫組織学的に検討し,methylone の急性投与時における脳線条体での ΔfosB mRNA 発現量を定量的PCR で確認した.その結果,methylone による運動量及び行動の質的変化は,MDMA よりむしろ methamphethamine に類似していた.さらに methylone では,CPP試験で依存性が確認されただけでなく,組織学的にも報酬系回路の側坐核で ΔFosB のタンパクと mRNA の有意な増加が確認された.以上より,methylone は向精神作用を有する依存性薬物である可能性が示された.

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© 2011 弘前医学編集委員会
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