弘前医学
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Print ISSN : 0439-1721
原著
マウス腹腔マクロファージにおける P2Y14受容体の発現と機能
工藤 藤美西口 直樹伊藤 京子中野 学伊藤 巧一
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2012 年 63 巻 2-4 号 p. 96-104

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抄録

 P2Y14 のリガンドである UDPG は炎症時に細胞内から放出され,免疫反応を制御することが知られている.本研究では,マウス免疫細胞における P2Y14発現を詳細に解析する為,モノクローナル抗体を用いたフローサイトメトリーを行った.その結果,P2Y14 は T細胞,B細胞,単球,顆粒球,F4/80⁺ CD11bhighマクロファージに発現し,腹膜炎が収束するにつれてマクロファージ上の P2Y14発現は低下した.炎症収束期において,腹腔マクロファージは炎症促進的に働く F4/80⁺ CD11bhigh から,炎症抑制的に働く F4/80⁺ CD11blow へと変化することが知られている.腹膜炎モデルマウスへの UDPG腹腔内投与により,F4/80⁺ CD11blow マクロファージの増加が認められたことからも,UDPG がマクロファージに発現する P2Y14 を介して炎症の収束に関与することが示唆される.

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© 2012 弘前医学編集委員会
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