2014 年 64 巻 2-4 号 p. 127-135
近年,適度な運動が酸化ストレスを減少させることが報告されている.しかし,そのメカニズムについてはいまだ明らかにされていない.本研究では,酸化ストレスの原因となる好中球の活性酸素種 (ROS) 産生量に週1回, 6ヵ月間の健康実践教室(運動教室と栄養教室)が及ぼす影響について調査した.対象は,岩木健康増進プロジェクトの平成20年度健康実践教室に参加した29名である.この教室の前,中間,後に体組成測定,血液検査,好中球ROS産生を反映する血清オプソニン化活性を測定した.その結果,教室後に体脂肪率,血圧,総コレステロールの低下,HDLコレステロールの上昇がみられ,さらに血清オプソニン化活性も低下していた.すなわち,教室参加は肥満や生活習慣病関連項目を改善させるとともに,酸化ストレスの原因である好中球由来ROSを抑制した可能性が考えられた.