弘前医学
Online ISSN : 2434-4656
Print ISSN : 0439-1721
原著
強化合宿中の L-グルタミンの摂取が柔道選手の筋組織,好中球機能に及ぼす影響について
野村 忠宏梅田 孝高橋 一平岩根 かほり大久保 礼由千葉 義信三宅 良輔小西 裕之徳田 糸代小松 美穂中路 重之
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2014 年 64 巻 2-4 号 p. 144-157

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抄録

 大学男子柔道選手35名を対象に合宿中にL-グルタミンを摂取させ,筋組織,免疫機能への影響を検討した.対象 者を,無作為にL-グルタミン 6g/日を摂取させる18名 (グルタミン摂取群) とプラセボを摂取させた17名 (対照群) に区分した.7日間の強化合宿を行い,合宿前日と終了翌日に調査した.また,両調査日に2時間の同一の柔道練習を実施し,その直前と直後に,白血球数,筋逸脱酵素等,好中球機能等の測定を行った.対照群でのみ筋逸脱酵素の練習前値は, 合宿前から合宿後にかけて上昇する傾向にあった (CK は p<0.05,その他はすべて p<0.01).一方,合宿前において,両群の好中球の活性酸素種産生能と貪食能の練習による変化率に差はみられなかったが,合宿後には,グルタミン群が対照群より小さい傾向にあった (貪食能のみ p<0.05).以上より,合宿中のグルタミン摂取は,一過性の運動により発現る筋組織の変性・損傷や免疫機能の低下を抑制させる可能性が示唆された.

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© 2014 弘前医学編集委員会
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