一般住民の呼気中水素濃度と好中球産生活性酸素種量の関係をみることで,酸化ストレスにおける水素の体内で の役割を検討した.対象者は,2007年の岩木健康増進プロジェクトの参加者で,糖尿病,悪性腫瘍,免疫疾患罹患者, 抗生剤,抗がん剤,ホルモン剤など炎症,免疫に関係する薬物と便秘薬服用者,欠損値のあるものを対象から除外した 656名 (男性252名,女性404名) であった.呼気中水素濃度と異物刺激時と刺激前の好中球活性酸素種産生量を測定した.その結果,60歳未満の男性では,呼気水素濃度と異物投与時の活性酸素種産生量に正の相関関係がみられた (p<0.05) が,60歳以上男性と女性ではそのような関係は認めなかった.以上より,抗酸化物質である水素は,好中球の産生する活性酸素種産生量の増加に対して,酸化ストレスに対する防御機構として反応的に増加した可能性が推測された.