2014 年 65 巻 2-4 号 p. 173-181
約10種の腫瘍組織 (10種) について HDRA法による抗がん剤の感受性試験を行った.その結果,5-FU はすべての腫瘍組織に対し陽性を示し,CDDP も 5-FU と同様に多くの腫瘍組織で陽性を示したが,抑制率はやや低下していた.
術前に 5-FU が投与されていない食道癌群における感受性の抑制率は 71.9 ± 11.6% (n = 6) であり,術前に 5-FU が投与された食道癌群の抑制率に有意な差は認められず,測定した症例では耐性が生じていない可能性が示唆された.その後 S-1 投与患者において,5-FU に感受性を示した群は,陰性群に比べ生存日数の延長が認められた.
膵癌組織での 5-FU および GEM に対する感受性結果から,5-FU または S-1 が膵癌への薬物療法で有用な薬剤である可能性が示唆された.
膵癌組織に対する質量分析によるプロファイリングを行った結果,5-FU に対する感受性が陰性の試料に出現が増加するシグナルが,5-FU 無効例のバイオマーカーになる可能性が示唆された.