弘前医学
Online ISSN : 2434-4656
Print ISSN : 0439-1721
原著
術後補助化学療法に向けた抗癌剤感受性試験 (HDRA) の有用性および HDRA を行った膵癌組織でのプロファイリング
照井 一史川崎 仁司細井 一広中川 潤一板垣 史郎津山 博匡下山 律子袴田 健一早狩 誠
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2014 年 65 巻 2-4 号 p. 173-181

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抄録

 約10種の腫瘍組織 (10種) について HDRA法による抗がん剤の感受性試験を行った.その結果,5-FU はすべての腫瘍組織に対し陽性を示し,CDDP も 5-FU と同様に多くの腫瘍組織で陽性を示したが,抑制率はやや低下していた.
 術前に 5-FU が投与されていない食道癌群における感受性の抑制率は 71.9 ± 11.6% (n = 6) であり,術前に 5-FU が投与された食道癌群の抑制率に有意な差は認められず,測定した症例では耐性が生じていない可能性が示唆された.その後 S-1 投与患者において,5-FU に感受性を示した群は,陰性群に比べ生存日数の延長が認められた.
 膵癌組織での 5-FU および GEM に対する感受性結果から,5-FU または S-1 が膵癌への薬物療法で有用な薬剤である可能性が示唆された.
 膵癌組織に対する質量分析によるプロファイリングを行った結果,5-FU に対する感受性が陰性の試料に出現が増加するシグナルが,5-FU 無効例のバイオマーカーになる可能性が示唆された.

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© 2014 弘前医学編集委員会
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