弘前医学
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弘前医学会抄録
〈一般演題抄録〉AKAP5-欠損マウスにおける交感神経の調節
韓 沖西崎 公貴小潟 佳輝富田 泰史村上 学
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2017 年 67 巻 2-4 号 p. 185-

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抄録

 細胞内情報伝達は人間の様々な生命維持に関わり複雑なネットワークを形成している。酵素タンパク複合体が注目を集めるようになったのは、この複雑な細胞内情報伝達ネットワークを理解するためである。細胞内情報伝達の一つにPKA (protein kinase A) による標的タンパクのリン酸がある。AKAP5 (A-kinase anchor protein 5) はこのPKA をはじめとして、電位依存性カルシウムチャネル、リアノジン受容体2、ホスホランバンなどのアンカー蛋白として酵素タンパク複合体を形成し、特にPKA についてはリン酸化の足場として機能している。そこで、我々はAKAP5-欠損マウスを用い、心調律におけるAKAP の重要性を検討した。
 AKAP5-欠損マウスは、イソプロテレノールに対する心拍増加反応が低下していた。心拍変動解析では、欠損マウスはRR 間隔変動幅が大きくなり、低周波成分 (LF) の低下を示した。低周波成分低下は交感神経トーヌスの低下を示唆する。AKAP5-欠損マウスの心房はイソプロテレノールによる陽性変カ作用の低下も認められた。上記結果よりAKAP5 は交感神経制御機構に関与することが明らかとなった。

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