弘前医学
Online ISSN : 2434-4656
Print ISSN : 0439-1721
弘前医学会抄録
〈一般演題抄録〉小児鼠径ヘルニアに対する腹腔鏡下経皮的腹膜外ヘルニア閉鎖術施行症例の検討
木村 俊郎須貝 道博石戸 圭之輔小林 完齋藤 傑三橋 佑人袴田 健一
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 67 巻 2-4 号 p. 187-

詳細
抄録

 【背景】小児鼠径ヘルニアは小児外科領域で最も頻度の高い疾患であり,手術方法として Potts法などの simple herniorrhaphy が標準術式として優れた成績を残している.近年腹腔鏡下経皮的腹膜外ヘルニア閉鎖術 (LPEC) が多くの施設で採用されており,当施設では 2007年より同術式を採用している.腹腔鏡を使用した場合,術創の整容性に優れているだけでなく,術中の検索により対側腹膜鞘状突起開存 (CPPV) を確認することができ,術後の対側鼠径ヘルニアの発症を予防するのに有効であるとされている.当施設では,術中所見で内鼠径輪の径が 4mm以上,またはヘルニア門から鉗子が 1.5㎝以上挿入可能であった症例を腹膜鞘状突起開存と診断し,LPEC を追加する方針としていた.LPEC と従来法の手術症例を検討し,その現状と今後の課題について考察した.
【対象と方法】当施設で小児鼠径ヘルニアに対し LPEC にて手術を施行した 400例と,Potts 法にて手術を施行した 399例を対象とし,LPEC と従来法を比較して利点および問題点を検討した.
【結果】LPEC の症例において術前に片側鼠径ヘルニアと診断されていた 377例中 125例 (31.3%) が術中所見で CPPV 陽性の診断となりLPEC が追加で施行された.術後の再発に関しては,従来法では 399例中 8例で,LPEC法では 400例中 4例で認められた (p=0.453).術後の対側発症に関しては,従来法では 399例中 38例 (10.4%) で,LPEC では 400例中 4例 (1.7%) で認められ,LPEC が従来法より対側発症率を有意に低下させうるという結果となった (p<0.0001).
【結論】小児鼠径ヘルニアに対する LPEC は,従来法に比べて鼠径ヘルニアの対側発症率を有意に低下させた.患児の再手術の危険性を低減することができるという点で,LPEC の有用性は非常に高いと考えられた.

著者関連情報
© 2017 弘前医学編集委員会
前の記事 次の記事
feedback
Top