2019 年 70 巻 1 号 p. 39-46
本研究の目的は,青森県の大腸がんに対する医療資源の医療圏間の偏りを定量的に検討することである.各二次医療圏における大腸がんの有病率(医療需要の指標),人口10万人当たりの消化器外科専門医数(専門医数),一般病床数,病院数の3種類(医療供給の指標)を算出した.ジニ係数(GC)とハーフィンダール・ハーシュマン係数(HHI)を算出することで,医療資源の偏りを定量化した.八戸圏域では有病率が最も低く,専門医数は最も多かった.GCは,専門医数,一般病床数,病院数でそれぞれ,0.285,0.115,0.053となり,HHIはそれぞれ2736,2272,2102となり,ともに専門医数で最も大きかった.青森県の大腸がんに対する医療資源は需要と供給がミスマッチしていることが分かり,特に専門医数の偏りが大きいことが示された.専門医数の偏りによる影響を緩和するために,遠隔医療や病院機能の分化などを推進する必要があると考えられた.