2019 年 70 巻 1 号 p. 47-55
一般に放射線治療計画装置(RTPS)は, 線源回転軸間距離(SAD)を100 cmとして製作されており, 長い線源回転軸間距離(Long SAD)が設定できないため, 全身照射(TBI)ではRTPSは利用できないことが多い. 本研究では, 自施設のRTPSの限界であるSAD 300 cmで算出されたデータ等を利用し, 簡便にSAD 350, 400 cmでの処方MU値及び補償物質の厚さを決めることが可能かを検討した. Long SADでの線量特性を取得し, SAD 300 cmでのRTPSの計算結果がLong SADの条件で測定される値になるように補正を行った. 本手法のMU値と患者に照射されたMU値との相対誤差は最大で3.6%であった. 大腿部及び下腿部で算出された補償物質の厚さは良い結果を示したが, その他の部位では実際よりも誤差が大きかった. 一部改善の必要はあるが, RTPSを利用して推定された処方MU値及び補償物質の厚さはTBIのセットアップに利用可能であることが示唆された.