弘前医学
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弘前医学会抄録
〈一般演題抄録〉当院潰瘍性大腸炎患者の意識調査
福士 道夫
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2020 年 70 巻 2-4 号 p. 180

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抄録

目的  潰瘍性大腸炎の治療は診断と治療薬の進歩で患者の QOL は向上した、と考えられる。しかし本疾患の発症年齢は 10 代後半から 20 代前半と若く、長期治療・経過観察が必須となる。そこで当院に通院中の患者が、疾患・治療・ 将来についてどのように感じているかの意識調査を行った。
 アンケート記入は、その目的を患者に説明し同意を得てから行った。
患者背景
 男性 15 例(平均年齢 51.2 歳、平均罹病期間 12.6 年)女性 12 例(51.4 歳、 18.5 年)の 27 例で、ほとんどが左側結腸炎型、中等症で、記入時 27 例中 22 例が寛解期であった。
アンケート内容
  1)日常生活での悩み、2)薬剤副作用の経験、3)精神的負担、4)社会生活 上の負担、5)治療への不安、6)検査に関して、7)治療に関して、8)医療 側への希望、9)周囲の認知度。
結果
 日常生活では、全員がトイレに関する悩みを抱えていた。下痢、血便の症状 への悩みも多かった。薬剤副作用はムーンフェイス、湿疹、精神的負担は、 再燃や症状悪化への不安、将来への不安をあげていた。治療に関しては、現 状でよいが多かったが、落ち着いたら中止したいとの意見もあった。医療側 へは、再燃・悪化時の対応、最新医療の説明を希望していた。周囲の認知度 では全員が家族内で病気の内容を共有していたが、職場では 7 割の共有に留まっていた。
まとめ  今後の診察にあたっては、治療内容とともに、精神面での対応も重要と思われた。

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