弘前医学
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症例研究
境界明瞭な腫瘤像を呈した男性乳癌の2例
梅津 誠子 西 隆西村 顕正井川 明子岡野 健介袴田 健一後藤 慎太郎鬼島 宏
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キーワード: 男性乳癌, 超音波, 境界明瞭
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2022 年 72 巻 1-4 号 p. 68-75

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抄録

 境界明瞭な乳房腫瘤は良性の場合が多い.今回,境界明瞭な腫瘤像を呈した男性乳癌を2 例経験したので報告する.
症例1は50代の男性.人間ドックで右乳房腫瘤を指摘され当院に紹介,US で右乳腺E領域に約17mm の境界明瞭な腫瘤 を認めた.針生検で乳癌の診断を得て,胸筋温存乳房切除と SN を行った.病期はT1cN0M0, 病期 I,病理診断は浸潤性 乳管癌であった.症例2は60代の男性.増大する左乳房腫瘤を主訴に紹介医を受診した.超音波検査(US)で左乳腺E 領域に約11mm の境界明瞭な腫瘤を認めた.穿刺吸引細胞診で乳癌の診断を得て当院に紹介,胸筋温存乳房切除術と腋 窩郭清(Ax)を施行した.病期はT1cN0M0,病期 I.病理診断は浸潤性微小乳頭癌,リンパ節は Ax 陰性(0/14)であっ た.境界明瞭な腫瘤像を呈する男性乳癌の報告が多く,男性では境界明瞭な腫瘤でも乳癌を疑って精査すべきと考えら れた.

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