HISPANICA / HISPÁNICA
Online ISSN : 1884-0574
Print ISSN : 0910-7789
ISSN-L : 0910-7789
論文
アカデミアの総合言語論の試み
安達 直樹
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 2013 巻 57 号 p. 27-47

詳細
抄録

アカデミアの『新文法』は何ゆえに「新」文法であるのか。2009年の刊行以来、この文法書のもつ新規性は、主にソフトの文法、すなわち個々の文法理論とその記述の中に求められてきた。本稿は、「文法」のハードの面に着目し、『新文法』をアカデミア史の中に位置付けながら、その本義を見極めたい。
『新文法』の記述性は極めて高いが、それは、スペイン語の多様な変種の記述において際立っている。現代のアカデミアがその理念として掲げる “unidad en la diversidad” は、今世紀の一連の著作に通底するものだが、歴史を眺めればこれも『新文法』の新しさとなろう。しかし、『新文法』に胚胎するもうひとつの unidad として、アカデミアの言語理論の統一を見出すことができる。それは、文法の再整備(正書法、音声学・音韻論の糾合)と語彙学(=辞書)と の一体化による、総合言語論の構築というべき試みである。

著者関連情報
© 2013 日本イスパニヤ学会
前の記事 次の記事
feedback
Top