人と自然
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聞き取り資料:兵庫県神河町川上集落による戦中・戦後における砥峰高原ススキ草原の利用・管理
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2016 年 27 巻 p. 117-128

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抄録

戦前より火入れによる管理が行われてきた兵庫県神河町砥峰高原における戦中・戦後の草原の利用と管理や,集落周辺での農林業の営みについて,火入れ管理を実施している川上集落の古老に聞き取り調査を行った.結果,(1)草原の管理については,火入れは戦中に一時途絶えたが終戦後に再開され,火入れ面積は現在の2 倍はあったこと,ススキの利用が停止した後も山火事防止や観光目的で火入れが継続されてきたことなど,(2)草原の利用については,ススキだけでなく盆花や山菜,薬草などが採集されていたこと,ウサギやヤマドリ, キジ,マムシなどの小動物の狩猟が行われていたこと,採集されたものは販売せず自家消費していたことなど,(3)集落の農林業の営みについては,集落周辺の草地で農耕用の役牛が放牧されていたこと,昭和35 ~ 36 年頃まで炭焼きが行われていたこと,終戦前後の時期に焼き畑が行われていたことなど,が明らかとなった.

© 2016 兵庫県立人と自然の博物館
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