抄録
『松前家記附録外国部』の朝鮮漂客李先達関係資料は、1696年礼文島に漂着した朝鮮人の一人である李志恒が書いた書簡等を収録しており、書簡等の収載に先立ち、漂流民の発見から本国送還までの概要を序文で示している。本資料の全文を示し、その内容を同漂流事件について記している朝鮮側及び松前藩側の記録と比較検討を行った。本資料に収載されている書簡等が送られた背景については、朝鮮側の記録である『漂舟録』で詳細が確認できる。本資料は、成立時期の早い『福山秘府』「朝鮮漂人部」の一部と同じ内容を収載しているが、それにみえる誤りを踏襲していないため、資料の系統関係では、現在その存在が確認されていない共通の祖本から成立したものである。
キーワード:松前家記、福山秘府、漂舟録、朝鮮人漂着部、李志恒