The Horticulture Journal
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原著論文
日本の在来トウガラシ(Capsicum annuum)における非辛味性は Pun1 遺伝子の新規機能欠損アリルに起因する
Erasmus Kirii後藤 丹十郎吉田 裕一安場 健一郎田中 義行
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2017 年 86 巻 1 号 p. 61-69

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抄録

トウガラシの辛味はカプサイシノイドと総称される辛味成分による.この成分は,トウガラシで特異的に生合成される成分であり,辛味性は putative acyltransferase をコードする Pun1 遺伝子によって質的に制御されている.Pun1 遺伝子の変異は,非辛味性を引き起こすことが知られている.これまでに3つの機能欠損アリル(pun11–3)が報告されているが,そのアリルの多様性は十分に明らかにされていない.本研究では,わが国在来の甘トウガラシ‘奈良紫’から新規の機能欠損 pun1 アリル(pun14)を見出した.Pun1 遺伝子の塩基配列解析により,この新規アリルでは第 2 エキソンでアデニン 1 塩基の挿入が生じていることを明らかにした.この 1 塩基挿入は‘奈良紫’に特異的であり,野生型には存在しない.この挿入は,フレームシフト変異を引き起こし,短縮タンパクを生じさせる.遺伝子発現解析の結果,Pun1 は辛味品種で強く発現していたのに対して,‘奈良紫’ではほとんど発現していなかった.‘奈良紫’と辛味品種の F2 集団(n = 103)において,pun14 遺伝子型と非辛味性は完全に共分離した.‘奈良紫’と pun14 アリルを判別する DNA マーカ−は,甘トウガラシの栽培化過程を理解する上で有用な知見を与えるだろう.

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© 2017 The Japanese Society for Horticultural Science (JSHS), All rights reserved.
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