保全生態学研究
Online ISSN : 2424-1431
Print ISSN : 1342-4327
流域スケールでの環境類型区分と指標群落の抽出
丹羽 英之三橋 弘宗森本 幸裕
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ジャーナル オープンアクセス

2009 年 14 巻 2 号 p. 173-184

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抄録

統一的かつ定量的な方法で、流域スケールでの環境類型区分と指標種の抽出ができれば、流域全体の環境目標の設定に活用でき、河川環境のマネジメントに貢献できると考えた。兵庫県市川水系における66調査地点の植生と環境要因から、流域スケールの環境類型区分をつくり、それぞれの類型区分ごとに典型性と特殊性の指標群落を抽出した。モデルに基づくクラスター分析とIndVal(指標指数)による方法を組合せ、複数モデル、複数クラスター数の組み合わせから最適な環境類型区分を抽出し、指標群落を客観的に抽出することができた。環境類型区分は空間的にまとまった区分で、抽出された指標群落は現地の状況をよく反映していた。また、流域スケールで環境類型区分をつくる際にはフィジオトープが適していることが示唆された。本研究で用いた方法は汎用性があり、今後、他の水系、他の生物で実証的な知見を蓄積していくことに貢献することが期待される。

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© 2009 一般社団法人 日本生態学会

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