保全生態学研究
Online ISSN : 2424-1431
Print ISSN : 1342-4327
原著
エゾサンショウウオとトウホクサンショウウオの孵化率及び幼生の生存率に融雪剤(CaCl2)が及ぼす影響
照井 滋晴太田 宏石川 博規郷田 智章
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2018 年 23 巻 1 号 p. 67-73

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抄録

冬期にまとまった積雪のある北海道・東北地方において、道路への融雪剤の散布は交通の安全性の確保の面からは不可欠であるが、一方で、動植物に悪影響を及ぼすことが懸念されている。そこで本研究では、融雪剤として利用されるCaCl2 が、どの程度の濃度でサンショウウオの卵や幼生の生存に影響を与えるのかを把握することを目的とし、エゾサンショウウオとトウホクサンショウウオの卵嚢と幼生を用いてCaCl2 曝露実験を行った。卵嚢を用いた実験の結果、エゾサンショウウオの半数致死濃度(以下、LC50 と表記)の推定値(CaCl2 換算)は316.6 mg/L、トウホクサンショウウオでは234.4 mg/L であった。幼生を用いた実験では、エゾサンショウウオのLC50 の推定値(CaCl2換算)は271.1 mg/L、トウホクサンショウウオでは519.0 mg/L であった。加えて、エゾサンショウウオの卵嚢を用いた実験では、400 mg/L 以上の濃度の水溶液中で孵化した幼生の17.9%は外鰓が委縮しており、たとえ孵化することができたとしてもCaCl2 の影響により形態的な異常が生じる可能性が示唆された。これらの結果は、残留するCaCl2 の濃度次第では自然条件下の繁殖水域においても、融雪剤の散布がエゾサンショウウオ及びトウホクサンショウウオの卵や幼生に対して孵化率や生存率の低下をもたらしうることを示唆している。

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© 2018 一般社団法人 日本生態学会
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