種子島の早稲田川沿いの木成国有林において絶滅危惧種ヤクタネゴヨウの分布調査を行い,新たな群生地(個体群)を発見した.この個体群は林齢43年の若い二次林であった.2ha内に生残している樹高2m以上のヤクタネゴヨウ成木138個体を確認し,その密度は69個体/haであった.これほどの高密度で分布するヤクタネゴヨウの個体群は,他の自生地でも報告例がない.種子島では,これまでヤクタネゴヨウの推定生残個体数は100個体といわれてきたが,今後はこの値を修正する必要があろう.この個体群内外で,マツ材線虫病とみられる被害で枯死したとみられるクロマツならびにヤクタネゴヨウが観察された.この個体群一帯を保護林等に設定することを九州森林管理局へ要望書を提出するとともに,マツ材線虫病への対策を早急に講じていく必要性も指摘した.