2015 年 23 巻 p. 18-22
半導体製造や光通信など,精密な位置決めが求められる場面で熱膨張が問題となっている.温めると縮む,負熱膨張材料は,構造材料の熱膨張を抑制し,ゼロ熱膨張コンポジットを作成するのに使えると期待される.本研究では,6 GPa 1000°Cで合成した巨大負熱膨張材料BiNi0.85Fe0.15O3粉末をフィラーとしてエポキシ樹脂に分散させ,ゼロ熱膨張コンポジットを実現した.フィラーの結晶構造変化と負熱膨張は粉末X線回折で確認,歪みゲージで測定した18体積百分率 BiNi0.85Fe0.15O3 / エポキシ樹脂コンポジットは,27–57°Cの範囲でゼロ熱膨張を示した.