2015 年 23 巻 p. 50-56
酸化タングステンにアルカリ金属イオンをドープしたタングステンブロンズ型MxWO3(M = Cs, Na, K, etc.)は,タングステンが混合原子価状態であるため,自由電子密度が高く,それに由来する様々な新規機能性及び応用が期待される.本研究では,水溶液プロセスを中心とした環境にやさしいソフトケミカルプロセスを利用し,特にカルボン酸とアルコールを反応溶媒として用い,高温におけるエステル化反応による水分子の放出を精密に制御できる新規ソルボサーマルプロセスを提案し,様々な形態及び粒子サイズが制御された混合原子価状態タングステン系化合物均一ナノ粒子の創製及び赤外線遮蔽材料,透明導電性材料,新規温熱癌細胞治療への応用について検討した結果を紹介する.