2016 年 24 巻 p. 98-102
ナノテクノロジーの発展のなかで,半導体量子ドット(QDs)と呼ばれる2~10 nm程度の半導体ナノ粒子は,サイズにより発光波長,色をデザインできるといった他のナノ材料にない特徴的な物性を持つため注目を集めてきた.量子ドット合成に関する研究報告は多数あるが,工業的にスケールアップ可能な分離手法に関する報告例は極めて少なかった.そこで本研究では逆ミセル液液抽出法により,量子ドットをその表面物性とサイズによって抽出分離する方法を開発した.本手法では,逆ミセルサイズにより量子ドットサイズを選択し,さらに量子ドット表面にDNAを結合させ,我々が独自に開発したDNA界面活性剤を用いることで選択性の極めて高い量子ドットの分離を実現した.本手法は様々なナノ材料の分離に応用可能かつスケールアップ可能な,実用性の高い方法であるといえる.