2017 年 25 巻 p. 89-98
近年の地球温暖化などによる地球規模での生活環境の変化は,未知の伝染性ウイルス,とりわけ,新型インフルエンザウイルス,SARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)コロナウイルス,さらにデング熱やジカウイルスなどの発生をもたらしており,それらの伝染拡大を未然に防ぐための迅速な高感度検出技術の開発が世界的な喫緊の課題となっている.さらに,ノロウイルスや大腸菌O157,サルモネラ菌などの病原性細菌による健康被害も頻繁に発生しており,これらの高感度検出技術の開発も求められている.本研究では,DCアーク放電により作製したグラファイト被覆金属ナノ微粒子の表面化学修飾,および抗体固定化した磁気ナノ粒子による各種ウイルスや細菌の超高感度検出に関する実験を行うとともに,ワンステップDCアーク放電によるアミノ基修飾金ナノ微粒子を用いた液中銅イオンの高感度検出に関する実験を行ったのでそれらの結果について報告する.