2018 年 26 巻 p. 125-129
気・水界面の物理的な特徴(電荷,変形性等)は粒子や他の材料に対する相互作用に大きな影響を与える.例えば,負に帯電した気泡が正に帯電した表面に吸着すると,気泡の破裂を促進する.水の表面は酸性を示すという研究がある一方で,塩基性であるという研究例もある.さらに水表面の電荷はpHや添加塩により変動するという報告もある.本研究では,原子間力顕微鏡を使って,気・水界面と粒子との相互作用を水相側から評価する.NaClがない場合,水の表面はpH 2.0以下の時に正電荷を有し,pH 3.0以上の時に負電荷を有する.正電荷は気・水界面へのH+イオンの吸着によってもたらされ,負電荷は気・水界面へのOH–イオンの吸着によってもたらされている.水にNaClを加えると,気・水界面の帯電状態が逆転することが分かった.気・10 mM NaClの界面はpH 2.0–7.0の時に負電荷を有し,pH 9.0の時に正電荷を有する.Na+およびCl–イオンが気・水界面でOH–およびH+イオンに吸着するためである.