2019 年 27 巻 p. 101-105
本研究では,低温作動固体酸化物形燃料電池のカソード材として注目されているK2NiF4型層状Ni系ペロブスカイト化合物Ln2NiO4(Ln = La, Pr and Nd)の磁場配向挙動を検討し,低磁場環境下で配向電極を作製することができるプロセス技術を開発することを目指している.我々の以前の検討によれば,La2NiO4は12 Tの強磁場環境で配向化が可能であるが,1 T以下の低磁場下では配向化は観測されなかった.これに対し,種々組成制御を施した試料を用いて検討を進めた結果,たとえば以下に示すPrNdNiO4では0.9 Tの磁場環境下で配向化が可能な電極粒子を設計できることがわかった.またその磁化容易軸はc軸であることを見出した.結晶軸方向による導電性を検討した結果,ab面上でより高い導電率が得られた.これらの結果からPrNdNiO4を用いてカソードを形成する場合には,磁場を電解質表面に対して平行に印加することによってより高性能な電極作製が可能であると考えられた.