2019 年 27 巻 p. 106-109
粉粒体層上に物体を落下させると,粉粒体層上にはクレーターが形成される.このクレーター形状を予測する物理モデルを得ることは難しい問題である.これは粉粒体層の運動を連続体として取り扱えないこと,また個々の粉粒体粒子の運動を解析するには粒子数が多いことに起因する.粉粒体層上に剛体球を落下させた際に形成されるクレーター径は球の衝突時の運動エネルギーの1/4乗に比例するというスケール則が知られている.粉粒体層上への液滴衝突について盛んに研究が進められているが,粉粒体層の動力学に加え,液滴の変形,飛沫化,粉粒体層への浸潤のため,剛体球の問題に比べ複雑である.本研究ではハイドロゲル球体の衝突を扱うことにより問題を単純化し,衝突物体の変形によるエネルギー散逸の効果をモデル化することを目指す.ゲル球の弾性率が増加するにつれて,どのような関係式によって剛体球におけるスケール則へ漸近していくか調査を行った.