2020 年 28 巻 p. 44-48
外部磁場に応答する磁性材料は,磁気共鳴画像法(MRI)や医療診断材料としての利用がなされる生物医学分野や,メモリデバイスやセンサー開発などの電子材料分野,ならびに触媒分野など,多岐にわたる分野で利用されている.磁性材料の構成成分には,優れた磁気特性を有するマグネタイト(Fe3O4)やマグヘマイト(γ-Fe2O3)などの酸化鉄磁性粒子が一般に使われ,酸化鉄磁性粒子を基盤とした様々な機能磁性材料の開発が進んでいる.酸化鉄磁性粒子は濃茶色から黒色の材料であるため,色材や光学材料への利用は困難である.本研究では,ランタノイド元素を複合したポリマーネットワークを用いることで,無着色な磁性粒子が得られることを見出した.本技術を応用し,フルカラー磁性粒子ならびに蛍光磁性粒子の作製に成功した.作成した材料は,粉体ならびに溶媒に分散した状態で磁性を示し,新たな磁性材料としての応用展開が期待される.