ホソカワ粉体工学振興財団年報
Online ISSN : 2189-4663
ISSN-L : 2189-4663
平成30年度 研究助成成果報告
高分子量ヒアルロン酸含有吸入用マイクロ粒子の開発
福重 香
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研究報告書・技術報告書 オープンアクセス

2020 年 28 巻 p. 74-81

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抄録

LPD(liposome-protamine-DNA complex)は,プラスミドDNAやsmall interfering RNA(siRNA)などの機能性核酸を効率的に送達するカチオン性脂質ナノキャリアである.LPDにヒアルロン酸コーティングを施したLPDHは,内封siRNAのサイレンシング効果を維持しつつ,細胞毒性が低い.本研究では,肺へのsiRNA送達キャリアとして,LPDおよびLPDHを含有するスプレーフリーズドライ粒子(LPD-SFDPおよびLPDH-SFDP)を開発した.LPD-SFDPおよびLPDH-SFDPを合成し,物性および機能評価を行った.LPDHの粒子径は,SFDPからの再分散後の粒子においても変化がなく,このLPDHに内封されている安定なsiRNAの量は,LPDよりも多かった.LPDH-SFDPとLPD-SFDPのin vitro肺吸入特性はほぼ同じであった.ヒト臍帯静脈内皮細胞に対するLPDH-SFDPの細胞毒性は,LPD-SFDPと比較して大幅に減少した.さらに,LPDH-SFDPに含有するBcl-2 siRNAはヒト肺癌細胞において有意な遺伝子サイレンシング効果を示したが,LPD-SFDPでは,ほぼ効果がみられなかった.これらの結果から,LPDと比較して,LPDHがsiRNA肺吸入用のSFDPの開発に有用であることが示された.

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