2020 年 28 巻 p. 109-117
粒子流動性を向上させる手法の1つに微小粒子添加法がある.しかし,その詳細なメカニズムについては不明な部分も多い.そこで本研究では,微小粒子の被覆状態によって生じる各接点の付着力分布が流動性向上効果に影響を及ぼしている可能性に着目し,DEMシミュレーションを用いて検討した.シミュレーションでは,3種類の異なる表面付着力分布モデル(不均一,ランダム,均一)を用い,オリフィスからの粒子流出速度を求めた.その結果,不均一付着力分布モデルの場合は,均一またはランダム分布のモデルの場合と比べて,流出速度が向上することが明らかとなった.これは,不均一分布モデルの場合は,粒子層内に不連続面が発生しやすくなることで,粒子架橋形成が生じにくくなったためではないかと考えられる.よって,微小粒子添加法における各粒子接点の付着力分布は流動性向上に寄与していると考えられる.