2022 年 30 巻 p. 52-57
ナノ粒子の最も簡便な細胞毒性試験として,赤血球を用いた溶血性試験が広く用いられている.しかしながら,ナノ粒子の溶血作用メカニズムは未だによく理解されていない.本研究では,種々の粒子径(5–120 nm)および表面官能基(なし,アミノ基,カルボキシル基)をもつシリカ粒子の溶血作用を,種々の曝露温度(4–43°C)およびリン酸緩衝生理食塩水(無添加,血清の添加,血清アルブミンの添加)において検討した.具体的には,溶血性試験,赤血球に対する粒子付着数の測定,赤血球の凝集・分散性の評価などを行うことにより,ナノ粒子の溶血作用メカニズムの全体像を明らかにした.