ホソカワ粉体工学振興財団年報
Online ISSN : 2189-4663
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令和3年度 研究助成成果報告
固体電解質ナノ粒子の生成メカニズムの解明と高速合成
大崎 修司
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研究報告書・技術報告書 オープンアクセス

2024 年 31 巻 p. 58-64

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抄録

全固体リチウムイオン二次電池は,その優れた安全性などから次世代の二次電池として期待されている.その製造工程で,粒子間の接触界面を大きくし,粒子の流動性を向上させる必要がある.また,固体電解質の粒子形状は,接触界面の増大と流動性向上で重要な役割を果たす.Li3PS4(LPS)は固相反応だけでなく,液相で合成されることから高い生産性という利点を有する.しかし,粒子サイズと形状を制御するメカニズムはまだ明らかにされていない.本研究では,ホットスターラーと超音波ホモジナイザーを用いて液相中でLPS粒子を合成し,反応温度と衝撃力が反応時間と粒子形状に及ぼす影響を検討した.ホットスターラーを利用し,イオン伝導度が1.3 × 10–4 S/cmと高いLPS粒子を67°Cで60分かけて合成できることが示された.この合成法は,従来の液相振とう法(6時間)よりも大幅に高速であった.また,LPSの粒子形状は,反応過程における衝撃エネルギーによって決定されることを見い出した.さらに,異なる合成法を組み合わせることにより,高いイオン伝導性を有する形状制御粒子の合成に成功した.本研究で得られた結果は,特定の粒子形状と粒子サイズを得るために合成条件を最適化するための貴重な知見である.

Graphical Abstract Fullsize Image
SEM images of LPS synthesized by combinations of (a) hot stirrer and liquid-phase shaking method and (b) hot stirring and an ultrasonic homogenizer.
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