抄録
放射線育種場のガンマーフィールドで緩照射を行ったニホンナシ‘おさゴールド’において,葉色変異が認められた.変異した枝の部分を切り取り,一般圃場に植栽された実生台木に接ぎ木して養成した結果,全体が黄色~黄緑色(黄緑色型)の葉および斑入りの葉(周縁黄緑色型)を持つ2種類が主に確認された.2004年と2009年の調査比較により,黄緑色変異は非常に安定と考えられた.一方,変異葉の着生程度などにより斑入り変異枝からは5種の枝の変異が認められた.これは斑入り変異が不安定のようであるが,SAM構造は比較的安定と考えられた.“twin sector”(緑色の黄色の斑が並んでいるもの)の存在,光学顕微鏡による葉身横断面の観察結果および後代実生の葉色から,この葉色変異は半優性で遺伝的にヘテロであり,茎頂分裂組織のL2に分布していると考えられた.さらに,得られた変異体の利用法について論議した.