2011 年 10 巻 2 号 p. 225-231
カキの主要品種を含む完全甘ガキ(PCNA)22品種,および非完全甘ガキ(non-PCNA)9品種についてビタミンC含量の品種間差異と果実発育ならびに成熟に伴う変化を明らかにした.併せて,栽培法によるビタミンC含量の増強について検討した.PCNA品種のビタミンC含量の平均値は,果皮で218 mg・100 g−1FW,果肉で84 mg・100 g−1FWであった.non-PCNA品種の平均値は,果皮で125 mg・100 g−1 FW,果肉で47 mg・100 g−1FWであり,PCNA品種の平均値が果皮ならびに果肉とも有意に高かった.また,ビタミンCに占めるデヒドロアスコルビン酸の比率は,non-PCNA品種の方が高かった.果実発育と成熟に伴うビタミンC含量の変化は,‘富有’,‘早秋’,‘刀根早生’とも幼果の時期をピークとして成熟期になるまで減少していったが,減少量は品種によって差が認められた.‘富有’の樹冠下に非透水性マルチを被覆するとビタミンC含量の増加が認められ,収穫時の果肉中のビタミンC含量は2007,2008の両年とも約134 mg・100 g−1FWとなり,無処理区の117 mg・100 g−1FW,111 mg・100 g−1FWより高くなった.この要因としては,濃縮効果以外に水分ストレスによるビタミンC生合成の活性化の可能性が示唆された.