J-STAGE トップ  >  資料トップ  > 書誌事項

園芸学研究
Vol. 12 (2013) No. 1 p. 9-14

記事言語:

http://doi.org/10.2503/hrj.12.9

育種・遺伝資源

ツバキ属の園芸品種は,主にヤブツバキをもとに成立しており,次いでユキツバキ,サザンカおよびトウツバキが利用されてきた.これらの種内変異および種間雑種から現在のツバキ園芸品種の大部分が成り立っている.いくつかの園芸品種は形態的,生理的に独特の特徴を有することから,その成立において他のツバキ属植物の関与が論じられている.‘炉開き’は,その特性と発見された地域から,チャとユキツバキの自然交雑によって生じたと考えられている.分子生物学的な調査から,その種子親がヤブツバキあるいはユキツバキであることが示されている.また,サザンカ園芸品種に分類される‘田毎の月’は,形態的特徴から中国原産のユチャから成立した品種と考えられている.ツバキ属植物において葉緑体DNAは母性遺伝する.葉緑体DNAのatpI-atpH領域と制限酵素TaqIやtrnL-trnF領域とTasI(TspEI)によるPCR-RFLPにより,ヤブツバキとユキツバキおよびサザンカとユチャの区別が可能である.本研究においてこれらのPCR-RFLP分析を行った結果,‘炉開き’はユキツバキと,‘田毎の月’はユチャとそれぞれ多型が一致した.さらにatpI-atpH領域のDNA塩基配列も,それぞれ一致したことから,‘炉開き’の母系祖先種がユキツバキであること,‘田毎の月’の母系祖先種がユチャであることが示された.

Copyright © 2013 園芸学会

記事ツール

この記事を共有