園芸学研究
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発育制御
夏秋ギク型輪ギク品種に対する花芽分化・発達期における細霧冷房が開花および小花形成に及ぼす影響
長菅 香織矢野 孝喜稲本 勝彦山崎 博子
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キーワード: 破蕾, 発蕾, 開花調節, 温度
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2013 年 12 巻 3 号 p. 289-295

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抄録

東北地域における夏秋ギク型輪ギク品種の夏秋期栽培での高温による開花遅延を回避するため,花芽分化・発達期の細霧冷房が開花時期や小花形成に及ぼす影響を検討した.‘岩の白扇’,‘精海’および‘精の波’をプラスチックハウスにおいて無電照栽培あるいは電照栽培し,花芽分化・発達期に細霧冷房を行った.細霧冷房により,噴霧時間における気温および植物体温は平均3℃低下した.‘岩の白扇’では,細霧冷房により無電照栽培において開花が促進され,電照栽培において破蕾が促進された.‘精海’の開花は,細霧冷房によって促進され,その程度は‘岩の白扇’に比べて大きかった.一方,‘精の波’においては,細霧冷房による開花促進効果は認められなかった.発蕾期までの細霧冷房により,‘岩の白扇’においては花序内部における総苞片が増加する傾向がみられ,‘精海’においては小花数の減少が認められた.以上より,東北地域における夏秋ギク型輪ギク品種の開花調節での細霧冷房について,‘岩の白扇’では発蕾期から破蕾期までの細霧冷房効果を高めることにより利用できる可能性が考えられた.また,‘精海’では開花調節における細霧冷房の実用性があるが,‘精の波’では実用性はないと考えられた.

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