園芸学研究
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栽培管理・作型
ウメ‘露茜’果実の熟度と着果条件がアントシアニンの蓄積およびその他の機能性成分含量に及ぼす影響
大江 孝明竹中 正好櫻井 直樹根来 圭一古屋 挙幸岡室 美絵子土田 靖久
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2013 年 12 巻 4 号 p. 411-418

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抄録

果実の採取時期,着果位置および光環境の違いが,ウメ‘露茜’果実の赤色着色や機能性成分に及ぼす影響について調査した.果皮の着色指数は発育とともに増加する傾向を示し,同一採取日では樹冠外層の果実(以下,外層果実)が樹冠内層の果実(以下,内層果実)より大きく推移した.果皮を含む果肉のアントシアニン含量は,完熟期まで発育とともに増加する傾向を示し,同一採取日では外層果実が内層果実より多い傾向を示した.果皮を含む果肉のリンゴ酸含量は,クエン酸含量よりも多かった.リンゴ酸およびクエン酸含量は,外層果実のクエン酸含量を除き,完熟期まで発育とともに増加する傾向を示し,同一採取日では外層果実が内層果実より多い傾向を示した.果皮を含む果肉のポリフェノール含量は,完熟期まで発育とともに減少する傾向を示し,外層果実と内層果実で差がなく推移した.β-カロテン含量は,完熟期まで発育とともに増加する傾向を示し,外層果実と内層果実で差がなく推移した.収穫適期前に約4週間,果実を遮光することにより果皮の赤色着色は減少し,アントシアニン,リンゴ酸およびクエン酸含量は減少傾向を示した.これらのことから,アントシアニンや他の機能性成分が豊富な‘露茜’果実を生産するには,良好な光環境下において,熟度を進めて収穫するのが良いと考えられ,受光条件が悪い内層の果実におけるこれら成分は外層果実に比べて少ないと考えられた.

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© 2013 園芸学会
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