アスパラガスの全期立茎栽培において長柄収穫ハサミを利用する際の作業性の向上を目的として,まず,側枝誘引による視認性の改善が収量および品質に及ぼす影響について調査し,次に30,50および60歳代男性を被験者とし,側枝誘引が長柄収穫ハサミを利用した収穫の作業能率および作業姿勢に及ぼす影響について調査した.ヒモまたはネットを用いて側枝を上方へ誘引した場合の収量および品質は,いずれも対照区と同等であった.長柄収穫ハサミを利用した収穫の作業能率については,側枝誘引の有無による差はなかったが,50および60歳代男性被験者では,ヒモ誘引およびネット誘引区で,収穫作業時の体幹部傾斜角度が低減した.また,若茎の視認について,全被験者から対照区と比較して,ヒモ誘引区およびネット誘引区が若茎の視認が容易との意見を得た.一方,ヒモを用いた側枝誘引に要した作業時間は,ネットを用いた場合の21%で,有意に短かった.