2016 年 15 巻 2 号 p. 139-144
簡易土壌水分計は土壌の乾燥程度を塩ビ管内の水位低下量として測定する.ウンシュウミカンと中晩生カンキツ‘はれひめ’を対象に,簡易土壌水分計の水位低下量とカンキツの水分ストレスおよび糖度との関係を調査した.その結果,簡易土壌水分計の1日当たり水位低下量はカンキツが受けている水分ストレスの指標になった.簡易土壌水分計の水位が低下し始めた時,土壌はpF 2.8以上に乾燥しているが,カンキツは水分ストレスを受けていなかった.簡易土壌水分計の水位が1日に5 cm程度低下すると,LWPは−0.8 MPa程度と考えられ,カンキツは増糖効果が得られる適度な水分ストレスを受けていた.簡易土壌水分計の水位が1日に9 cm以上低下すると,LWPは−1.5 MPa以下と考えられ,かん水が必須であった.また,簡易土壌水分計の水位低下量を収穫時まで積算した値が大きいほど果実糖度が高くなった.簡易土壌水分計はカンキツが受けている水分ストレスを簡便に判定する測器と考えられる.