2016 年 15 巻 3 号 p. 247-255
ヘアリーベッチのリビングマルチを利用したカボチャ露地栽培(3年間3作)において,ヘアリーベッチのすき込みと家畜ふん堆肥の施用による化学肥料の低減を検討した.ヘアリーベッチは10月に播種し,翌春,カボチャ栽培うね部分は,緑肥としてすき込み,うね間は,リビングマルチとした.ヘアリーベッチのすき込まれた地上部の全窒素量は,0.93~1.04 kg・a-1で,カボチャ作付前土壌の無機態窒素含量が高かった.ヘアリーベッチをすき込み,化学肥料の窒素成分を0.6 kg・a-1低減した栽培では,草勢や収量の低下が見られなかったことから,ヘアリーベッチのすき込みにより,窒素成分で0.6 kg・a-1程度の化学肥料の代替が考えられた.家畜ふん堆肥の施用による窒素の代替効果は低かったが,窒素以外の肥料成分については,家畜ふん堆肥の施用による代替が示唆され,窒素は,ヘアリーベッチのすき込みにより,その他の肥料成分は,家畜ふん堆肥の施用による化学肥料の低減が考えられた.