園芸学研究
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繁殖・育苗
自家和合性ニホンナシ品種間の自家結実性の差異と花柱組織との関係
黒木 克翁竹村 圭弘丸森 啓紀寺谷 直子松本 辰也田村 文男
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キーワード: 人工受粉, 受精, 花粉, 結実
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2016 年 15 巻 4 号 p. 363-369

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抄録

‘おさ二十世紀’の後代である自家和合性ニホンナシ品種‘秋栄’,‘秋甘泉’,‘夏そよか’および‘新美月’の自家結実性を3年間にわたり受粉4週後および16週後に調査した.その結果,受粉4週後の自家結実率は品種間で大きく異なり,‘秋栄’ と ‘夏そよか’ で低かった.特に, ‘夏そよか’は著しく低かった.また,受粉4週後から16週後まで‘秋栄’および‘夏そよか’の結実率はさらに低下した.品種間の相互受粉による結実率は雌蕊側品種の自家結実性と同様の傾向を示した.自家結実性の差の原因を明らかにするために,受粉72時間後の花柱組織の形態観察を行った.‘秋栄’および‘夏そよか’の花柱中心部の細胞の配列が崩壊し,空洞化が観察され崩壊程度3であった.このことから,‘秋栄’および‘夏そよか’に関しては花柱誘導組織の崩壊の速さに起因する受精能力保持期間の短さが自家結実率の低さの一因となっているのではないかと考えられた.

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