園芸学研究
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栽培管理・作型
寒冷地での無加温ハウス育苗によるネギの8月どり作型における連結紙筒の株数の違いが生育と収量に及ぼす影響
本庄 求武田 悟吉田 康徳金田 吉弘
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キーワード: 窒素利用率, 栽植密度, 出荷
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2016 年 15 巻 4 号 p. 383-391

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抄録

寒冷地での無加温ハウス育苗によるネギの8月どり作型において,重量の大きい規格のネギを収穫することを目的として,窒素施肥量と連結紙筒の1穴当たり株数の違いが生育,窒素吸収量および収量に及ぼす影響を検討した.窒素施肥量の違いについては,標準区(2.9 kg・a–1,秋田県の標準の施肥量),多肥区(3.5 kg・a–1,標準区の20%増肥),少肥区(2.3 kg・a–1,標準区の20%減肥)の3区とした.その結果,生育途中には多肥区の地上部重,葉鞘径および草丈がやや大きい時期があったが,少肥区でも生育に十分な窒素施肥量であったことから,収穫期には窒素施肥量の影響は認められなくなり,いずれの処理区でも生育や収量に大きな差がみられなかった.連結紙筒の1穴当たり株数の違いでは,1本区,2本区および1.5本区(1本と2本の交互)の間に定植後の生育や収量に差が認められた.1穴当たり株数が1本,1本と2本の交互および2本と増加するほど,定植後の生育の抑制が大きくなり,1株当たりの窒素吸収量が減少し,1株当たりの地上部重が減少した.一方,面積当たりの収量は,1穴当たり株数が多いほど増加した.調製重は栽植密度(株・m–2)と負の相関が認められ,反対に,1株当たりの占有面積(cm2/株)とは正の相関が認められた.調製重と栽植密度との関係は二次式でよく適合し,調製重と1株当たりの占有面積との関係は一次式でよく適合した.

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