園芸学研究
Online ISSN : 1880-3571
Print ISSN : 1347-2658
ISSN-L : 1347-2658
収穫後の貯蔵・流通
ウメ ‘露茜’ 果実の追熟条件がアントシアニンの蓄積とその他果実成分含量に及ぼす影響
大江 孝明竹中 正好根来 圭一北村 祐人松川 哲也三谷 隆彦赤木 知裕古屋 挙幸岡室 美絵子土田 靖久
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 15 巻 4 号 p. 439-444

詳細
抄録

果実の追熟条件の違いが,ウメ ‘露茜’ 果実のアントシアニンの蓄積や果実成分含量に及ぼす影響について調査した.エチレンを添加して20°Cで追熟した場合,果皮を含む果肉のアントシアニン含量は,追熟後4日頃より急増した.エチレンを添加して同じ期間追熟した場合,アントシアニン含量は20°Cおよび25°Cが15°Cおよび30°Cに比べて高かった.エチレンを添加すると追熟中にアントシアニン組成が変化した.赤く色づき始める前に収穫された果実では追熟後の赤色着色が不十分であり,適熟で収穫した果実ではそれより前に収穫した果実に比べて,追熟後のアントシアニン含量が低かった.追熟により果実全体が着色した果実では,大きさの違いはアントシアニン含量に影響しなかった.アントシアニン以外の果実成分については,リンゴ酸が追熟前後ともに,採取日が遅くなるほど高くなった.また,ポリフェノール含量は,追熟により高くなった.結論として, ‘露茜’ 果実の収穫時期や追熟温度により追熟後のアントシアニン含量が大きく変わることが確認された.アントシアニン含量を効率よく高めるためには,果実全体が色づく適熟期よりもやや未熟な,果実表面の3~5割着色した果実を収穫して,エチレンを添加し,20°Cで4日程度追熟させるのが適当と考えられた.

著者関連情報
© 2016 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top