2017 年 16 巻 2 号 p. 203-210
本研究では,Ralstonia solanacearumによる青枯病への抵抗性と,トウガラシ微斑ウイルス (PMMoV) によるモザイク病への抵抗性を有するピーマン用台木新品種‘紫L4台助’の育成を行った.さらに‘紫L4台助’は,幼苗期の胚軸にアントシアニンを発現することで,接木操作時に穂木と台木を容易に識別できる特性をもつ.強病原性の青枯病菌(菌株 ‘S’) を用いた接種検定では, ‘紫L4台助’ は,ピーマン用台木品種である ‘台パワー’ や ‘台助’ と同等の抵抗性を示すことが確認された.病原型がP1.2.3型のPMMoVを用いた接種検定では, ‘紫L4台助’ はL4遺伝子をもつことが確認された.また, ‘紫L4台助’ は緑茎の従来品種と比較し,幼苗期の胚軸に約3倍量のアントシアニンを発現することが確認された.穂木に‘みおぎ’ を用いた場合の収量性の調査では, ‘紫L4台助’ は,ピーマン用台木品種である ‘台助’ と比較して同等であった.