園芸学研究
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栽培管理・作型
人工受粉の時間帯が甘果オウトウ(Prunus avium L.)の花粉管伸長と結実性に及ぼす影響
萩原 栄揮富田 晃山下(土橋) 路子新谷 勝広
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キーワード: 発芽孔, 花粉, 形態異常, 気温
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2018 年 17 巻 2 号 p. 179-184

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抄録

甘果オウトウ ‘ナポレオン’ の花粉を供試し,in vitroで温度変化が花粉発芽と花粉管伸長に及ぼす影響を調査した.2段変温区(20°C, 2時間→4°C, 15時間→20°C, 3時間)と変温区(4°C, 15時間→20°C, 3時間)を一定温度の対照区(20°C, 3時間)と比較した.2段変温区では設定温度を20°Cから4°Cに変更すると花粉管の伸長速度は著しく低下した.再び,20°Cに移行しても伸長速度は当初の約50%に留まり,花粉管先端の屈折や肥大などの形態的な異常が観察された.変温区では,4°Cで15時間経過しても発芽は認められなかった.設定温度を20°Cに上げると花粉管の伸長は速い速度を示した.さらに,温度条件が異なる時間帯に受粉して結実率を比較したところ,結実は受粉する時間帯によって異なり,午前10時~午後2時の受粉で良好な結実が得られたが,気温が低い早朝や夕方の受粉では結実率が低下した.甘果オウトウでは気温の高い日中に受粉すると結実確保に有効であることが示された.

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