2020 年 19 巻 4 号 p. 365-372
静電受粉では花粉の付着量が向上し,花粉使用量の削減が期待できる.そこで,静電風圧式受粉機を用い,ニホンナシ,キウイフルーツを対象に受粉試験を行った.ニホンナシ,キウイフルーツともに静電受粉による花粉発芽率の低下は確認されなかった.静電風圧式受粉機による散布の結果,ニホンナシ,キウイフルーツともに花への花粉の付着程度は向上した.静電風圧式受粉機による花粉の散布量は,これまでの風圧式受粉機と比べてほぼ半減した.ニホンナシ,キウイフルーツともに静電受粉した果実は果実重,糖度,酸含量の低下は認められず,静電受粉による果実品質への影響はみられなかった.静電風圧式受粉機を使用した場合の花粉の希釈倍率について検討した結果,ニホンナシでは20倍,キウイフルーツでは40倍まで希釈できることが明らかとなった.また,ニホンナシにおいては静電風圧式受粉機を用いた20倍散布での花粉付着量は,10倍での梵天にはやや劣るものの,10倍での花粉交配機,500倍での溶液受粉と同等であった.以上の結果,静電風圧式受粉機は,ニホンナシ,キウイフルーツにおいて花粉散布量が少なくなり,かつ花粉の希釈倍率をあげることができることから,花粉の使用量を削減できることが明らかとなった.