2021 年 20 巻 1 号 p. 87-94
マンゴー ‘愛紅’ は ‘アーウィン’ と比べて隔年結果性が強く,大果性の晩生品種である.本研究では,カンキツの栽培に適用されている隔年交互結実栽培法をマンゴー ‘愛紅’ に応用し,その有効性を検討した.交互結実処理には主枝別交互結実区と樹別交互結実区の2処理区を設け,慣行法の対照区と比較した.花穂発生率に対照区と処理区間で有意な差はみられなかったが,ON-branchおよびON-treeの花穂発生率は安定して高く,ほぼすべての枝から花穂が発生した.両交互結実処理区の収量は対照区と有意差がなかったが,平均果実重は対照区より軽くなり,小玉果の割合が高くなった.作業効率に関し,両交互結実処理区ではせん定時間が短縮され省力化が可能であることが示唆された.一方,MiFT遺伝子の発現量は ‘愛紅’ の隔年結果性と関連があることが示され,開花数の予測に利用可能であることが示唆された.マンゴー ‘愛紅’ において,隔年交互結実栽培は慣行法と同程度の果実品質と収量を維持しながら,生産量の変動制御と省力化を可能にする有効な方法であると考えられた.