5 巻 (2006) 3 号 p. 241-245
これまでに得られた萎凋細菌病抵抗性に関与するQTLの近傍に存在するDNAマーカーの実際の萎凋細菌病抵抗性育種における有用性について調査した.これまで浸根接種により選抜してきた抵抗性戻し交雑系統のマーカーの有無を調査した結果,主働抵抗性遺伝子に連鎖したマーカーであるSTS-WG44は全ての系統が保有していた.一方,作用の小さい2つのQTL近傍のマーカーであるOQ12とSTS-WB66は戻し交雑を進めた系統で保有する割合が低下した.このことからSTS-WG44が抵抗性個体を選抜する上で有効であることが明らかになった.実際の育種集団を用いて,STS-WG44の有無と発病率を調査した結果,STS-WG44の有無による発病率の差は62.6%と大きく,発病率が20%以下の強抵抗性系統のほとんどはSTS-WG44を保有していた.本研究により,カーネーションの萎凋細菌病抵抗性育種においてSTS-WG44を選抜マーカーとして用いることで,強度の抵抗性を有する系統を含む平均発病率の低い集団へ絞込みが可能であり,DNAマーカーによるマーカー選抜育種が可能であることを明らかにした.