抄録
トルコギキョウの覆輪花弁の着色面積率は冬季の栽培においてしばしば増加し,商品価値を低下させる.開花前の低温への遭遇が着色面積率の増加の原因と考えられている.我々は人工気象器を用いた12時間日長条件下で,極早生品種‘キャンディマリン’の覆輪模様に与える温度の影響を調査した.一定温度条件下では着色面積率は20℃で最大値を示し,生育温度と着色面積率の間に負の相関が見出された.昼温よりも夜温が高い条件で着色面積率が低下した他,35℃の昼温を与えれば夜間に5℃に遭遇しても着色面積率は小さかった.これらから,冬季における着色面積率の増加は昼温を高めることで回避できる可能性が示された.処理開始から開花までの温度条件が一定である本実験条件においては,着色面積率を減少させる温度条件は,生育量も低下させる傾向も認められた.我々はさらに,覆輪着色面積率と花弁着色部のアントシアニン―フラボノイド色素の濃度との間には直接的な関係が無いことを明らかにした.